転職を考え始めたとき、「いま動くべきか、それとも待つべきか」は気になるところです。ただし、転職市場を「売り手市場」「買い手市場」の一言で判断すると、自分に合った機会を見落としかねません。
雇用需給の方向を示す公的統計と、実際の求人票に記載された職種・年収・働き方を分けて見ることで、より現実的な判断ができます。今回は、厚生労働省などの一次情報を軸に、ユナイテッドワールドのサイト掲載求人全体の参考値も補足しながら、現在の転職市場を読み解きます。
転職を考え始めたとき、「いま動くべきか、それとも待つべきか」は気になるところです。ただし、転職市場を「売り手市場」「買い手市場」の一言で判断すると、自分に合った機会を見落としかねません。
雇用需給の方向を示す公的統計と、実際の求人票に記載された職種・年収・働き方を分けて見ることで、より現実的な判断ができます。今回は、厚生労働省などの一次情報を軸に、ユナイテッドワールドのサイト掲載求人全体の参考値も補足しながら、現在の転職市場を読み解きます。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、有効求人倍率は1.18倍(令和8年6月・前月比+0.01ポイント)(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」、2026-07-31 公表)です。有効求人倍率とは、公共職業安定所で扱う有効求人数と有効求職者数の関係を示す指標です。民間の人材紹介サービスや求人媒体だけを経由する求人・求職は含まれないため、転職市場に存在するすべての求人と求職者を表す数字ではありません。
一方、新たに受け付けた求人と求職の関係を示す新規求人倍率は2.16倍(令和8年6月・前月比+0.05ポイント)です。有効求人倍率よりも足元の動きを確認しやすく、公共職業安定所における新しい求人と求職の需給を見る材料になります。
ただし、転職を考える会社員が特に確認したいのは、正社員に絞った数字です。正社員有効求人倍率は1.00倍(令和8年6月・前月比+0.01ポイント)となっています。雇用形態を問わない倍率と比べると、同統計の対象範囲における正社員の求人と求職は、より拮抗していることが分かります。
完全失業率は2.5%(2026年6月)(総務省統計局「労働力調査(基本集計)2026年6月分」、2026-07-31 公表)です。この数字も含めて見ると、現在は雇用そのものが大きく失われている局面とは読み取りにくい一方、希望する正社員求人を簡単に選べる状況だとまでは言えません。
つまり、同統計の対象範囲では求人が求職を上回っていることと、自分が希望する職種・年収・勤務地の求人が豊富にあることは別の話です。有効求人倍率は、公共職業安定所における雇用需給の全体的な方向を知るために使い、応募判断には民間サービスを含む実際の求人条件を重ねて見る必要があります。
「人手不足なら、転職すれば年収も上がりやすい」と考える人もいるでしょう。しかし、賃金のデータはもう少し慎重に読む必要があります。
厚生労働省の雇用動向調査では、転職入職者のうち、前職より賃金が増加した人の割合は39.4%(令和7年上半期・「減少」31.5%、「変わらない」25.5%)(厚生労働省「令和7年上半期雇用動向調査結果の概要」、2025-12-23 公表)です。これに対して、賃金が減少した人の割合は31.5%(令和7年上半期・「増加」が「減少」を7.9ポイント上回る)でした。増加した人が減少した人を上回っているため、転職による賃金上昇が現実的な選択肢であることは確認できます。
一方で、賃金が下がった人や変わらなかった人もいます。求人が求職を上回る指標が出ていても、転職するだけで給与が上がるわけではありません。評価される経験、応募する業界、役割の難易度、給与体系などによって結果は変わります。
前職より賃金が一割以上増加した人の割合は26.7%(令和7年上半期・「1割以上の減少」は22.0%)です。年収アップを目的にするなら、「求人があるか」だけではなく、自分の経験が上位の役割や不足している専門領域につながるかを確認したいところです。なお、調査結果に示される各区分の割合は、集計対象や端数処理の関係により、合計が全体と一致しない場合があります。
雇用の出入りを見ると、上半期の入職率は8.9%(令和7年上半期・離職率は8.1%で0.8ポイントの入職超過)です。この入職率は、同調査の対象事業所における常用労働者への雇用の流入を表すもので、転職者だけを対象とした数字ではありません。離職率との関係では、雇用への流入が離職を上回っています。ただし、この統計から個人の内定可能性や年収交渉の結果を予測することはできません。転職時期を決める際は、雇用全体の動きと自分の市場価値を切り分けて考えるのが妥当です。
現在の給与水準を知る参考として、国税庁の調査では、一年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円(令和6年分・前年比3.9%増)(国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」、2025-09-30 公表)です。正社員に限った平均給与は545万円(令和6年分・正社員以外は206万円)、男性の平均給与は587万円(令和6年分・女性は333万円)となっています。
こうした平均値は、自分の給与が社会全体のどのあたりにあるかを考える入口になります。ただし、職種、年齢、役職、勤務地、企業規模などの違いをまとめた数字であり、個別の適正年収を直接示すものではありません。属性別の平均値も、個人の能力や転職後の評価を決める基準ではない点に注意が必要です。
ここからは、市場判断の根拠ではなく、ユナイテッドワールドのサイト掲載求人全体に関する補足データです。掲載求人は1,296件(当社求人データ・2026-09-02 時点の集計)あり、そのうち想定年収の下限を数値で取得できた求人は1,247件(1,296件中96.2%)です。取得できた求人における想定年収の下限中央値は500万円となっています。
この集計では、各求人について日本人の応募可否を一律に判別できないため、日本人が応募可能な求人だけに限定した主要数値としては扱いません。日本人読者が利用できる範囲は、サイト掲載求人の職種、年収、勤務形態にどのような記載があるかを知るための参考までです。実際に応募可能かどうかは、個別の求人票に記載された募集要件を確認してください。
また、公的統計上の「実際に支払われた平均給与」と、求人票に掲載された「想定年収の下限」は、対象も定義も異なります。単純に差額を計算して「転職すればその分だけ上がる」と判断することはできません。求人票の年収レンジは、候補者の経験や担当業務によって提示条件が変わり得るものとして確認してください。
自社データは、ユナイテッドワールドの取扱領域や顧客企業の構成に偏りがあり、日本の転職市場全体を代表するものではありません。分かるのは求人票にどのような条件が掲載されているかまでで、応募数、選考通過率、採用実績、実際の提示年収を示すデータでもありません。
ユナイテッドワールドのサイト掲載求人全体では、最も件数が多い職種はITエンジニアで、266件(1,296件中20.5%)です。これは日本人が応募可能な求人だけに限定した集計ではないため、日本人向けIT求人の市場規模を示すものではありません。英語やグローバルな環境を生かした転職を考える際に、掲載求人の構成を知るための参考値として確認してください。
また、「ITエンジニアの掲載が多い」という事実だけでは、自分に合う求人が多いとは限りません。同じ職種名でも、開発領域、使用技術、担当工程、顧客との折衝、チームの使用言語などによって求められる経験は異なります。職種名ではなく、業務内容と必須条件を照合する必要があります。
働く場所についても、希望と掲載状況を分けて見ましょう。サイト掲載求人全体のうち、フルリモートとして掲載されている求人は106件(1,296件中8.2%)です。この数字も、日本人が応募可能な求人だけに限定したものではありません。「英語を使う仕事」や「IT職」であれば、当然にフルリモートになるとは判断できません。
フルリモート求人のうち、想定年収の下限を数値で取得できたものは98件(106件中92.5%)で、その下限中央値は600万円です。サイト掲載求人全体の下限中央値を上回っていますが、これはフルリモート勤務そのものに年収を押し上げる効果があることを意味しません。掲載されている職種や役割の構成が影響している可能性があるためです。
年収と柔軟な働き方を両立させたい場合は、リモート可否だけで検索するより、専門性を生かせる職種を先に定め、その中で応募可能な求人の勤務条件を比較する方が、選択肢を具体化しやすくなります。
データから見る現在の市場は、公共職業安定所で新しい求人の動きが確認でき、転職後に賃金が増えた人は減った人を上回っています。一方、正社員の求人と求職は同統計の対象範囲で拮抗しており、希望条件を満たす転職や年収アップが保証されているわけでもありません。
したがって、「市場が良いから転職する」「悪いから待つ」という二択ではなく、在職中に応募可能な求人を確認し、自分の条件とどの程度一致するかを確かめる進め方が現実的です。
まず、希望条件を「職種・役割」「最低限必要な年収」「英語を使う場面」「勤務地・リモート条件」に分けます。英語については、「英語を使いたい」だけで終わらせず、会議、文書作成、顧客対応、海外チームとの協働など、実務で使える場面を言語化してください。
次に、条件に近い求人票を複数確認し、必須条件との一致度を求人ごとに記録します。必須条件の大半を満たすものは応募候補、一部が不足するものは代替できる経験や入社後に求められる水準を確認する候補、不足項目が中心となるものは保留、と整理します。これは選考通過を示す基準ではなく、求人を比較するための編集部独自の暫定的な目安です。新しい求人や企業から得た情報を追加した時点で分類を見直し、最初の判断に固定しないでください。
想定年収は上限だけでなく下限も確認し、固定給、変動給、役割の範囲など、記載内容を個別に読みます。希望条件をすべて満たす求人が見つからない場合は、年収、業務内容、英語を使う機会、働き方のうち、どれを優先し、どれなら調整できるかを決めておくと比較しやすくなります。
そのうえで、職務経歴書では「英語が得意」「グローバル志向」といった抽象表現ではなく、場面、役割、行動、成果が伝わる形にします。たとえば、「海外拠点との定例会議を英語で進行し、要件の認識差を整理して、合意した日程内でのリリースにつなげた」と書けば、英語の使用場面と自分の貢献を同時に示せます。
IT・エンジニア職なら、「海外チームから英語で受け取った障害報告を整理し、国内の開発担当と修正方針を調整して再発防止策を実装した」のように表現できます。技術名を並べるだけでなく、設計、開発、運用、改善のどこを担当し、どのような判断と行動をしたかを添えると、求人要件との対応関係が明確になります。成果を数値で示す場合は、社内資料などで確認できる範囲にとどめ、推測で補わないようにしてください。
現在の数字は、転職活動を始めるかどうかを決める材料にはなりますが、退職時期まで自動的に決めてくれるものではありません。まずは在職中に希望条件と経歴を整理し、自分が応募可能な公開求人と非公開求人を確認してください。そのうえで、求人票に記載された想定年収と必須要件を比較し、応募候補が具体化してから転職時期を判断する進め方ができます。
本記事で「当社求人データ」として示した数値は、ユナイテッドワールド株式会社が2026-09-02時点で掲載している求人1,296件を対象に集計したものです。年収は「想定年収」欄を数値化(外貨建ては除外)、勤務形態は勤務エリア欄と本文の記載、職種は求人票の職種区分を用いています。
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